お金が手に入る? 人気者になれる? AV女優という職業は楽園への入り口に見えるが、出口は何もない荒野だ【神野藍】
神野藍「 私 を ほ ど く 」 〜 AV女優「渡辺まお」回顧録 〜連載第15回
【荒野への道は薔薇色に舗装されている】
AV女優という職業の入り口は楽園への入り口かのごとく綺麗に整備されている。「お金が手に入る」「人気者になれる」「夢をかなえられる」「身バレはしにくいです」心地の良い言葉ばかりが聞こえてくる。しかしながら、AV女優の出口は何もない荒野だ。誰も辞めた後に起こる面倒ごとは助けてはくれないし、セカンドキャリア支援と謳っている事務所もあるだろうが、そんなものは現役の時に比べたらお金にもならず、そこまで力をかけてはもらえない。
それこそ彼女たちが考えているAV女優の薔薇色の出口をくぐれるのはほんの一握りだ。しかもそこまでの過程については本人の努力じゃどうにもならないようなことも多い。未だに辞めさせないために、他の業界を見せないようにする事務所も存在して、本人が望んだところでアパレルやコスメ、一般媒体の仕事へ繋がる道を閉ざされることもあるのだ。
AV女優は誰でも気軽になれる職業じゃないし、そうなってはいけない職業だ。どんなにもてはやされたとしてもだ。そこには絶対の壁がなくてはいけない。
勘違いしている方もいるかもしれないが、私はAV女優という職業に対して何の恨みも持っていない。私がネガティブと捉えられるようなことを発信するのは、他に誰も発信する人がいないからだ。ポジティブなことは私が言わなくても、女性をAV女優にさせることでお金を稼いでいる人たちが勝手に発信するのだから、私がやる必要はないのだ。
(第16回へつづく)
文:神野藍
※毎週金曜日、午前8時に配信予定